夏の海からの贈り物

夏の海は、おいでおいで、と私を呼んでくれる。

せっかくのお誘いだから

海にからだをあずけて、ぷかぷか浮いてみる。

ベッドに横たわるみたいに。


目の前に広がるのは、真っ青な空。


一瞬、ほんの一瞬、

海と、空と、私が、この世のすべてになる。


海が見せてくれた贈り物。




最近、ある曲を聴いた。美しくやさしい曲。


聴いた瞬間、目の前に、真っ青な空が広がった。

そして涙が出た。

こんな美しい空なのに、なぜこんなに悲しいんだろう。


何度聴いても、同じ情景と、しーんとした悲しみが訪れる。



祈りがこめられた曲なのだと、あとで知った。



海に横たわって空を見るとき、

気づかないうちに私は祈っていたかもしれない。

たぶん、祈っていた。


そんな時間も、夏の海がくれた贈り物。