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ある夏の日に [日記のようなもの]

友人2人とともに、海に行こうということになりました。

1人がレンタカーを借りてきてくれるというので、
もう1人の友人と私は、横浜駅前で待っていました。

金曜日の夜遅く。
酔っ払いのオジサンが、何か言いたげな様子でこちらを見ています。

 うへ、からまれる~。いやだなぁ。

と思っていたら、そのオジサンがついに口を開きました。



「よおよお、ニイちゃん! 歯並びのいいネエちゃん連れてんなぁ~♪」



おいおい。

歯並びのいいネエちゃんって私のことかい。


まあ、酔っ払いにも歯並びが見えるほど、大口あけてたんですね。

オジサンが去った後も2人で、ずーっと笑いっぱなしでした。



そして3人で伊豆に向かう道中も、よくしゃべり、よく笑い、

海でもさんざんはしゃぎ、

帰りに国民宿舎の温泉に寄ったら眠くなっちゃって、

日帰りの予定だったのに、結局1泊して帰ってきました。




社会人になって3年目ぐらいの頃の話です。





横浜駅で「歯並びのいいネエちゃん」と一緒にいた友人が

昨夜、天に召されたそうです。


彼は昨年頃から、難病と闘ってきました。

ようやく苦しみから解放されて、
今はまたあの屈託のない笑顔で、愛する家族を見守っているのでしょうか。



しらせを聞いて、いちばんに思い出したのが、
なぜか、あの遠い夏の日の出来事だったのです。





今、心を痛めている身近なひとりひとりを想って、

顔はわからないけれど、確かに存在する人々を想って、

そしてもうひとり、病と闘っている友人を想って、

祈ることを改めて始める日となりました。


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